【中学受験生・中学3年生におすすめ】まはら三桃『つる子さんからの奨学金』を読んだ感想

10歳~12歳のあなたへ
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「今よりもワンランク上の高校を目指すなら
奨学金を出すよ」。
99歳の曾祖母から突然言われた言葉。

曾祖母の時代、祖母の時代、母の時代、
そして令和を生きる今の自分。

『受験』という大イベントを控え、
学べる幸せ、ジェンダー平等に
ついて考えさせられる本です。

〇中学受験を考える小学5・6年生

〇高校受験を控える中学生

〇なんか毎日張り合いがないと感じる高校生

〇NHK朝ドラ『らんまん』『虎に翼』にハマった方

におすすめの一冊です。

2023年9月 小6合判模試(首都圏模試センター)
国語で出題されました。

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あらすじ



つる子はこほんと一つ咳払いをして言った。
「奨学金をだすことにしたよ。」

ある日、曾祖母のつる子に
呼びだされたわかばたち一家。

いとこのたつきとともに、
つる子から高校の学費を援助する
という提案を受ける。

条件は、今の実力よりひとつ上の
学校をめざすことだった。

受験とバレー部の両立、
応援し心配する親からの
プレッシャーに悩みながらも、
わかばは挑戦するおもしろさを感じていく。



2023年2月22日 発売

著者

まはら三桃 みと

福岡県生まれ。
講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。

作品に、『青(ハル)がやってきた』、
『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、
『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、
『思いはいのり、言葉はつばさ』
『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』
『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

読んだ感想

高校受験に挑む
中学3年生のわかばが主人公です。

99歳の曾祖母つる子が
自分の100歳の誕生日を前に、
家族を呼んで
自分の学生時代の話を始めます。


『分家』だったから
『女の子』だったから
自分は希望する学校にすら
行かれなかったと、語り始めます。

そして最後に、
今狙っている学校よりも
ワンランク上の学校を受けて合格したら、
つる子が奨学金として
学費を払おう、というのです。

親からしたらなんという
ありがたい素敵なお言葉(笑)

子どもからしたら

あと一年でどうしろと?!

と思う言葉です。


けれどもワンランク上を
目指そうと思い始めてから、
わかばはそれまで持っていた
勉強や生活に対する意識が
少しずつ変わっていきます。

わかばが最後に合格する
高校はどこなのか?

いとこの超優秀な樹が
すすむ高校はどこなのか?


結末はきっとあなたの想像とは
違っていると思います。

NHK 連続テレビ小説『らんまん』でも語られていた

一ノ姫が植物が好きなこと、
私が神木隆之介くんが好きなことから
見始めた朝ドラ『らんまん』。

同じくらいの時代背景になるのでしょうか。

こちらでも高知にいる時の家族関係で
『本家』『分家』という話が出てきます。

あまり詳しくわからずに観ていましたが、
この本で少し詳しく書かれていました。

「あたしは分家の娘だから、
おじさんから女学校には行けないと
言われたの。
それで本家の座敷に座り込んだんだよ。」

「ホンケ?ブンケ?」

話の脈絡はともかく、
知らないワードをわかばが
ききかえすと、
桃枝が教えてくれた。

「昔の家は本家と分家に
分かれていたの。
一般的には家督をついだ長男の家が
本家で、次男以下の男兄弟の家は
分家って言ったのよ。
母の父は三男だったから分家。」

<中略>

「本家はその家を守るために、
教育もしっかり受けさせて
もらえる。
そのうえ財産を全部もらえるの。
でも分家には教育も財産もなし。」

<略>

「昔の日本は貧しかったから、
自分のところの財産を
守るためにはそれが
あたりまえだったんだよ。

だから分家のあたしは、
高等小学校までで
じゅうぶんだって言われてたの。」

まはら三桃『つる子さんからの奨学金』より

簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

昔の名称在学期間現在の名称在学期間つる子さんの状況
尋常小学校6年間小学校
年間
高等小学校2年間中学校3年間←つる子さんはここまででよいと言われた
中学校(男のみ)女学校
(女のみ)
高校3年間←座り込みをして行かれるようになった
高等学校
この後も、昔の学校名には「大学予科」などの名前がありますが、このお話ではあまり関係ないので割愛します。


昔の高校は男女別の学校が普通だったんですよね。
今は男女別学も、共学も選べるんですから
ラッキーですね。

悔しさをバネに

「お父さんからきいたんだけど、
くやしさはバネになるんだって。
大学受験に失敗したとき、
予備校の先生に教わったんだってさ。」

「くやしさがバネ?」

「うん。普通、ネガティブな感情は
何の役にも立たないんだって。

”ねたみ”とか”そねみ”とか”やっかみ”
なんかは、
自分の心をいためつけるだけ。

だけど、”くやしい”って感情だけは
努力するバネになって、
人を成長させるんだって。」

まはら三桃『つる子さんからの奨学金』より

”悔しさ”は
バネになるの私もわかります。

私も「この人達だけには負けたくない!」
「この人達より
絶対幸せになってやる!」と
何度思ったかわかりません。

もう無理かもと思ったときでも
「負けたくない!」という思いは
火事場の馬鹿力という
くらいのパワーをもたらしてくれます。

過去問を解く理由と生活習慣の大切さ

「私立が終わったところでは、
安心するせいか、体調をくずす人や、
やる気をうしなう人が出てきます。

けれどもここからが本当の本番です。
けっして油断せず、
一段ギアを上げてください。」

<中略>

あと一か月弱、とにかくできることをやるしかない。

わかばは過去の問題をくりかえし
解くことに集中した。

中学校担任の里中先生から
「自分は最後の一か月で、
過去問を暗記するくらいにやった。」
と教わったからだ。

きいたときには、
「同じ問題が出るわけではないのに
意味があるのか?」と少々疑いを
持ったけれど、
やってみると意味がわかった。

過去問はこれまで何度も解いてきた
だけに、おぼえている問題も多い。

それでも正解すると
気持ちがよかった。

それがよいリズムになった。
気持ちが乗ったまま、
何度もまちがっていた問題も
正解できるようになった。

同時に生活習慣についてもきいた。

「自分のことが、
自分できちんとできる人は
強いです。」と教わって、
心がけている。

まはら三桃『つる子さんからの奨学金』より


私も答えとかを
覚えてしまう方なので、
過去問を何度もやるなんて
実は考えられません。
一ノ姫には塾で言われているように「何度も解くように」と言いましたが・・・。

このお話は中学3年生15歳のお話なので、
現在12歳の中学受験生である一ノ姫に
全部が当てはまるとは思えませんが、

それでも親である私には、
1月受験のあとの体調管理や
その後の気持ちの持っていき方など、
小説ながらに
参考になりました。

『自分のことが自分で出来る』、
これは大事なことです。


受験という人生の岐路に立っているかもしれないけれど、
私は一ノ姫にもニノ姫にも、毎日
お風呂洗いはさせるし、
お皿拭きもさせています。

普段と変わらないことをする、って
受験当日を迎えるときにも平常心でいられる
大事なことなのではないかなと思っています。

”自分にとって”価値があることに一生懸命になればいい

「そう。自分は何を大切にして
生きていきたいか。

それは人によってちがうわね。
自分の特技を生かして、
好きなことをすることで、
心がよろこぶ人もいる。」

<略>

「それより社会的な成功や
評価が大切だと思う人もいる。」

<略>
「どっちでもいいと思うのよ。
大切なのは自分にとって
価値があることに
一生懸命になること。

一生懸命やっているうちに、
人間は成長するんだと思うよ。」

まはら三桃『つる子さんからの奨学金』より

自分が大事に思うものは、
他人も大事とは限りません。

自分が優先させたいと
思うことが、他人も同じとは
限りません。

けれども、
”みんなも自分と同じ考えで
いてほしい”と願ってしまうから
苦しく感じたり、
”苦手だなこの人”と
感じたりするのかもしれません。

たとえば志望校を決めるときでも、

  • 交通の便が良いところがよい
  • 制服がかわいいところがよい
  • 部活がいっぱいあるところがよい


など、志望する理由は人それぞれです。


誰かに「え~そんな理由なの?」と水をさされようが、
自分が好きで、大切にしたいのなら、
それで良いと思うのです。

間違いなんてないんです。

自分が納得できていれば、
そこへ向かって頑張れるし、
辛いときにもパワーがわいてくると思います。

私も経験があるので、
本当にそう思います。

友だちと違ったっていい。
家族に反対されたっていい。


自分がこうしたいと思う気持ちを
貫き通す勇気と
強い心を持ってほしいです。

100%で頑張れば必ず道は開けるから。

この本をおすすめしたい人

少し厚い本だと感じるかも
しれませんが、
文章もわかりやすく、
行間もあいていて見やすく、
スラスラと読めます。

中学生、高校生にオススメです。

小学生なら本好きな子か、
わからない言葉が出た時に
辞書で調べられる子にオススメです。

〇中学受験を考える小学5・6年生

〇高校受験を控える中学生

〇なんか毎日張り合いがないと感じる高校生

〇NHK朝ドラ『らんまん』

『虎に翼』にハマった

こんな方におすすめの一冊です。

それではまた。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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