『少年陰陽師 境の岸辺に甦れ』を読んだ感想

10歳~12歳のあなたへ
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新章がスタートしました。
今回は前回の道敷編からつながる形での始まりです。

少々ネタバレがあります。

この「少年陰陽師」シリーズ全く読んだことがないけど、
シリーズ初巻から読んでみようかなと思った方はこの先ご遠慮ください

平安時代が好きな方、安倍晴明が好きな方にはオススメのシリーズです。

姫たちの小学校の図書館にもこの角川つばさ文庫から出ている少年陰陽師が在架しているようです。


以前、テレビでも放映していたのでこちらを観るとすぐ内容がわかります。
ただやはり本で読んだ方が丁寧に説明されているので話がわかりやすいです。
声優さんたちが豪華です!!


「こひめが毎回少年陰陽師の記録書いてるけど一体どんな話なわけ?」と少し興味を持っていただけた方はぜひこの先お読みください!

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少年陰陽師シリーズの主人公・昌浩(まさひろ)

かの有名な大陰陽師・安倍晴明ですが、この少年陰陽師シリーズではもう70歳を超えるおじいちゃん。
平安時代ではありえないほどの長生きです。

晴明には安倍家を継いだ息子のもとに3人の孫がいます。長男・次男はすでに結婚をしていて家をでていますが、末っ子の昌浩(最初は13歳くらいでしたが、今は17歳くらいになった)だけが安倍家に暮らしています。

晴明は十二神将という神様の末席に名を連ねている、普通の人には見えないものを使役しえきしています。
この十二神将も普通の陰陽師では使役なんぞ出来ないのですが、詳しくはこちらをお読みください。


昌浩はめちゃくちゃ強い見鬼けんき(今でいう霊感のようなもの)の才能があったために、
幼いときにあやかしから命を狙われまくったので危険を感じた晴明が
その昌浩の見鬼の才能を封じ込めてしまったのです。

おかげで命を狙われることはなくなったけれど、晴明の孫でありながら、妖が見えない、書道も下手、雅楽も下手という三重苦に昌浩は苦しめられてしまうのです。書道と雅楽はもともと昌浩が苦手なだけですが(笑)。

「時がくればその封印は昌浩自身の力で解ける」と晴明は十二神将たちには言っていたのですが、わざと封じ込めたことを昌浩にはいじわるして何も言わず・・・。
おかげで昌浩からは「たぬきじじい」と罵られることになります(もちろん陰で叫ぶんですが)。

でも昌浩のまっすぐな性格と優しさ、持って生まれた強い見鬼の才能といい、安倍晴明が唯一と定めた後継者が末っ子の昌浩なのです。(本人だけがまだわかっていないというのが少年陰陽師の面白いところです)

藤原道長の娘・彰子(あきこ)

歴史上の藤原道長の娘・彰子(しょうし)は一条天皇の中宮となり、
「源氏物語」をかいた紫式部が仕えた少しだけ名の知れた女性です。

少年陰陽師の世界では、この彰子は二人いることになっています。

本当の娘・彰子あきこはとてつもない見鬼けんきの持ち主で(今で言う霊感が強い)、妖にその体ごと利用されて、体に呪詛じゅそを刻まれてしまいます。

それが入内じゅだいが決まってから(天皇と結婚が決まってから)のことだったため、
道長は大陰陽師安倍晴明になんとか呪詛を消してもらおうとするのですが、
体の奥深くに刻まれているため、一週間に一度は祈祷きとうをしないと彰子あきこ自身も生きてはいられなくなるし、もし帝のそばにいったらこの呪詛を悪者が利用して帝にまで危険が及ぶかもしれないということがわかるのです。

娘の命は大事だが、自分の娘を天皇に嫁がせられないと知った道長は焦り、
彰子あきこのいとこにあたる章子(しょうこ)彰子あきことして入内させるのです。

この二人、とても顔が似ているらしく何も問題ないらしいです。(この時代の姫は、名前すら家族以外には教えなかったらしいです。名前を知ることができるのは父母・兄弟姉妹・そして結婚する相手だけだったとか。なのでもちろん顔を知るのは本当に限られた人のみなので、替え玉もバレない)

そして、彰子あきこは晴明の家で「藤花(ふじか)」と名前をかえて一緒に暮らし始めます

ここの場面がとても胸キュンポイントなのです。ぜひ読んでほしいです!


この時代 結婚相手は自分では選べない

このあと何シリーズも続きまして紆余曲折ありまして、彰子は晴明の家を出て、
天皇の第一の姫(内親王・9歳くらい)のもとに女房としてお仕えすることになります(もちろん道長の娘とは隠したまま)。

しかしやはり本当の娘である彰子にはそれなりの立派な貴族のもとに嫁いでほしいと思う父心。

彰子は昌浩のことが好きで、昌浩も彰子に一目惚れして以来ずっと好きなのですが、
希代きたい大陰陽師だいおんみょうじといえども貴族のランクとしては下の方で、時の権力者・道長の一ノ姫(長女)をもらえるはずがありません。

お互い好きだけど、一緒になることは絶対に叶わない。
それならば結婚はせず、
ずっと一人でいることを決めてしまうほど二人はお互いを強く想っているんです。

若干9歳の内親王のはからい

藤花ふじか彰子あきこ)は藤原道長の親戚だということで内親王のもとに入ったのですが、
とても賢い内親王は藤花(彰子)は昌浩が好きなんだということに気づき始めます。

そして道長が水面下ですすめていた結婚を止めてあげるんです

天皇の次に政治の実権を握っている道長に物を申せるのは、その天皇の一ノ姫(長女)である内親王のみ

(このシリーズ中の少年陰陽師の時代では皇后さま(内親王のお母さん)も亡くなっていて、他の皇子や姫は3歳くらいなのです)。

その内親王が二人のお互いを想う気持ちに気づき、一緒にさせてあげようと計らってくれたのです。

前の巻でここをやっているのですが、今回は敵がはなった呪詛のせいで瀕死の状態の内親王が必死の決意で、晴明に「二人を一緒にしてあげて」と伝えるんです。
追加でいつも内親王のそばにいる味方の雑鬼ざっきも晴明に伝えてくれて、
晴明もその内親王の優しさに涙を流すという・・・。

少年陰陽師をずっと読み続けているファンからすると、「よくやってくれた 内親王!」と思える巻でした。

ただ、今新しい敵のせいで内親王は瀕死の状態にあります。

ここで内親王が亡くなってしまったら今度こそ、誰も道長を止められず二人は一緒にいられなくなってしまう。

今回の物語の中では、平安時代の有名な菅原道真すがわらのみちざね(もう神となってあがめられてます)がでてきたり、
昌浩も彰子も大変な状況になっていますが、何とか耐えて 強敵を倒してほしいです。

まとめ

少年陰陽師は本編だけでも42巻を超える長いシリーズです。
だいぶ端折って説明しましたが、
陰陽師安倍晴明や平安時代が好きな人にはオススメです。

私は結城光流さんの文章の書き方というか、言葉の選び方が好きです。
つい、声に出してよみたくなります。

のぞめるつわもの、闘う者 皆陣列みなじんやぶれてまえり!」「電灼光華でんしゃくこうか急々如律令きゅうきゅうじょりつりょう!!」などなど、
これは呪文ですけど。

「なりません、姫宮ひめみや!」とか、今では絶対使わない言葉遣いが好きです(笑)。

四谷大塚の社会で下期のテキストからうちの一ノ姫が歴史を勉強しはじめまして、
やはり平安時代を知ってからの方が楽しめる物語なので、
受験が終わったら思う存分読んでほしいなと思っています。

私は学生時代とても憧れた平安時代でしたが、色々と勉強していくなかで、やっぱり好きな人と結ばれることができる現代に生きていて良かったなと今は思っています。

今の世界から一気に違う世界へ浸れるので、私はとっても好きなシリーズです。


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