辻堂ゆめ『君といた日の続き』(新潮社)を読んだ感想

読書エッセイ
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こひめ
こひめ

辻堂ゆめさんの2022年10月19日発売の本です。

○小説はあまり読まない
○ミステリーを読んでみたい
○流血とか殺人が生々しく書かれているのは苦手
○自分、就職氷河期世代です


いずれかが当てはまる方には
おすすめの一冊です。

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新潮社
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あらすじ

娘を亡くし妻と離婚した僕に、
未来を生きる資格があるのだろうか。

終わりがあると知りながら過ごす、僕と君のひと夏。


コロナ禍のリモートワークを言い訳に
自宅に引きこもるばかりのある日、
僕はずぶ濡れの女の子を拾った。


1980年代からタイムスリップしてきたらしい
彼女は僕の大切な人の命を奪った
連続少女誘拐事件に関係しているのか……。


その時の僕は知るよしもなかった、
すべての過去の意味を。


その答えは、今の僕が持っていたんだ。

心揺さぶる辻堂ゆめの新たな代表作、遂に誕生!

著者

辻堂ゆめ

1992年生まれ。神奈川県藤沢市辻堂出身。
東京大学 法学部卒業。

2015年、第13回『このミステリーがすごい! 』大賞
優秀賞を受賞し、『いなくなった私へ』でデビュー。

『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞受賞。
『十の輪をくぐる』で第42回吉川英治文学新人賞候補。

ほかに『卒業タイムリミット』『あの日の交換日記』
『僕と 彼女の左手』『二重らせんのスイッチ』など。

読んだ感想

私はミステリーも好きなのですが、
HSPエイチエスピー(Highly Sensitive Person)なので
あまりに生々しい描写とかは
読んでいて怖くなってしまうんです。
『屍人荘の殺人』などは怖くて読めませんでした・・・・・・。

HSPエイチエスピー(Highly Sensitive Person)とは、

米国の心理学者である
エレイン・N・アーロン博士が提唱した
心理学的概念で、生まれつき敏感で、
周りからの刺激を過度に受けやすい
「繊細な人」のこと。


<HSPの特徴>
環境刺激に敏感で、
感情や刺激の処理が他の人よりも
深くなる。
また共感性が高く、
感情表現に優れており、
美的感覚に敏感で
音楽や芸術などに興味を
もちやすい傾向がある。

HSPは全人口の15~20%にあたり、
約5人に1人いるといわれている。

参考:
心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません | 睡眠・休息・メンタルケア | サワイ健康推進課 (sawai.co.jp)


辻堂ゆめさんの本は以前
『いなくなった私へ』という本を読みました。

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面白かったので次の本を読みたいと思い、
図書館で予約していた本が今回の本です。

昭和世代には懐かしい箇所がいくつもある

窓の外はまだまだ明るく、夜の気配は忍び寄ってこない。
「テレビでも見たら?」とちぃ子にリモコンを渡すと、
彼女は嬉々としてチャンネルを回し始めた(ああ、どうしても使ってしまう。)
「変なの、夕方なのにニュースばっかり・・・・・・」と口を尖らせる
彼女を見て、幼少期の記憶がうすぼんやりと蘇る。

「ちぃ子ちゃんの時代には、平日のこの時間って、
アニメの再放送がいろいろやってたんだっけね」

「そうだよ。水曜日は、『ど根性ガエル』とか、『ルパン三世』とか、
『パーマン』とか。七時からは『アラレちゃん』!」

辻堂ゆめ『君といた日の続き』より


私は就職氷河期と言われていた時代の
一番最後の方の世代でした。

なので、この本の主人公である
ゆずるの方が私より年上です。

それでも私の覚えている小学生時代も
『ルパン三世』はやっていたし、
テレビ朝日(10チャンネル)で金曜19時からは
『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』
やっていました。


今はあの頃とは時代も、
家族構成も違います。

アニメなどは
Amazonでも観られるし、

YouTubeで面白い動画も見られるし、
テレビ一択ではなくなってしまいました。


最近では一ノ姫やニノ姫が10年前まで
お世話になっていた
『おかあさんといっしょ』が18時から
やっていて驚きました。


この本では他にもマクドナルドのチキンナゲットや
歌番組についてもふれているので

あぁ~そうだった、そうだった
懐かしい~


とタイムスリップしたように
懐かしくなりますよ。

「いま」は永遠ではない

ーーーーー未来って、そんなことになっちゃうの?
ふと、いつかのちぃ子の言葉が、耳に蘇った。

そうだよ、難しい時代だ。

人々は常にマスクをつけていて、
震災からの復興五輪を謳っていた
東京オリンピックは逆風にさらされ、

世間はワクチンを打つべきかどうかの議論で
ギスギスしている。

日本がこれからどんどんよくなっていくと
誰もが信じて疑わなかった、
八〇年代の頃のような明るい希望はない。

だからちぃ子にはがっかりされてしまったし、
譲自身、仕方がないと諦めていた。

負の連鎖から這い出そうとする気力さえなかった。

ただ、そんな状況下でも、
懸命に目を凝らしさえすれば、
幸せの欠片は見つかるものだ。


教えてくれたのは、ちぃ子、君だった。
どんなにつらくても、
もう耐えられないと自暴自棄になっても。


その「いま」は、永遠ではない。

気づいていないだけで、
時代はいつだって変わり続けている。
これまでだって、無意識のうちに追いついてきた。

ならば、今は意識的にでも、
次の自分へと脱皮しなければならない。

時の狭間に取り残され、
立ち止まっているわけにはいかない。

辻堂ゆめ『君といた日の続き』より


新型コロナウイルス感染症が
5類となってからは、

あんなに毎日ひっきりなしに
テレビで騒いでいたことも、

こひめ
こひめ

そういえばそんなこともあったなぁ~


と懐かしく思ってしまうほど
時間が経ったんですね。


コロナウイルスに、二度の大震災、
これからどうなってしまうのだろうと
不安と共に過ごした毎日。

何も信じられなくなり、
誰も信じられなくなり、
人を傷つける事件もたくさんありました。

それでもそんな暗い時間をなんとか
乗り越えてきた。
乗り越えられた。

「いま」は永遠ではない。

色々な意味でとらえることができる
言葉です。


今辛い人には”希望”に、
今幸せな人には”注意報”にもなる。

目の前の今しかないから、
後悔しないように過ごしていきたいものです。

この本をオススメしたい人


このお話は最後まで読んだら、
また最初から読み返したくなるようなしかけ?が
あります。



ミステリーといっても犯人捜しをするわけではなく、
少し辛くなる事件の話はありますが、
流血などの凄惨な状況は出てこないので、
中学生くらいからでも読めると思います。


ただ、個人的には
昭和時代を知っている方が読むと
面白いだろうなと思います。

辻堂さんは1992年生まれとのことなので、
よくお調べになって書かれたのだろうなと
感心しました。

○小説をあまり読んだことがないけど、
挑戦してみたいなという方

→読みやすい文章です。章ごと可愛いイラストつきです。

○ミステリーを読んでみたい
→犯人捜しではなく、
不思議な時間軸の謎を解く感じです。

○流血とか殺人が生々しく書かれているのは苦手

→少し辛い事件はありますが、
怖がりの私でも許容範囲でした。

○自分、就職氷河期世代です

→今はあまり話すことがなくなった昭和のこと
を思い出すことができます。

○夏の終わりに少し
センチメンタルな気持ちになりたい

→泣ける本です。
読んだ時の自分の置かれている状況によって
涙の量は変わると思います。


という方にオススメの一冊です。

それではまた。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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