葉真中顕『ロスト・ケア』を読んだ感想

読書エッセイ
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こひめ
こひめ

2012年日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品です。

今の日本が直面する『介護』問題。
老老介護、ヤングケアラー、高齢者虐待・・・
この本は介護業界の闇や
根本的な日本の社会保障問題について提起されています。


介護が身近にせまっている人、

以前、介護をしていたことがある人、


そしてまだまだ介護する人なんて

周りにはいないと思っている
20代30代の方
におすすめです。

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概要

戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。
その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫び

―悔い改めろ!

介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、
善悪の意味…。

現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!

全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

著者について

葉真中 顕 (はまなか あき)
1976年東京生まれ。
2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。

’11年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。

’12年『ロスト・ケア』にて第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビュー。

続く受賞後第一作『絶叫』も「週刊文春ミステリーベスト10 2014年版」(文藝春秋)、「このミステリーがすごい!2015年版」(宝島社)などにランキング入りし、話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

読んだ感想

映画上映されている原作本
という興味で借りました。

以前にも、映画化から興味をもって
こちらを借りたことがあります。↓

『『護られなかった者たちへ』』
映画の原作本です 借りてきた当初は読めるのか?!と思うほどのボリュームでしたが、なんとか読めました図書館の図書整理週間だったので長く借りられたのも運がよか…
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映画の原作本はいつも誰がその役を演じるのかを確認してから読むのですが、
今回は松山ケンイチが白髪だということと、
長澤まさみが出るということしか知らなかったので
誰が誰だかわからず読み進めていました。

原作では 長澤まさみの役は男性になっています。
大友 秀樹→大友 秀美 なので、
原作と映画では、境遇などはおそらく違うのでしょう。

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文章は読みやすく、
寝る前にちょこちょこと読み進めました。

登場人物は数名出てきて、
同時刻の出来事などもありますが、
各章の前に名前と日時が書かれているので、
ごちゃごちゃにならずわかりやすかったです。


アマゾンのコメントなどを見ていると犯人はすぐわかったという
声が多いのですが、私は「この人なのかな?」と思ったけれど、
最後は「えっ?どういうこと?!」となって、
数十ページ戻りました(笑)

日本ミステリー大賞を受賞した作品ですが、
ミステリーより重いテーマな気がします。

物語の中心は題名のとおり「ロスト・ケア」=喪失の介護。
「認知症」や「介護」


お金がある人とない人でこうも生活が変わってしまうのかと、
まざまざと思い知らされるお話でした。

避けては通れない、
むしろこれから自分もぶち当たるかもしれない日本の未来。

「護られなかった者たちへ」同様、社会問題に触れた本を
読んだあとはちょっと心が重たくなりますね。



もしかしてヤングケアラー?

ここ二日間、朝すれ違う方々が気になっています。

足が悪いおばあちゃんと
中学生くらいにみえるけど高校生か大学生なのか・・・という年代の女の子が
二人で駅に向かっているのです。

昨日はおばあちゃんがゆっくりと歩いていて、
疲れてしまうのか、道で止まると
何も言わずに女の子が隣に立ちすくんで待っていました。

(ヤングケアラー?)

と頭をよぎりましたが、私年齢を当てるのが本当に苦手なもので
もしかしたら20歳超えているのかもしれないし、
虐待している風ではなかったのでそのまま横を通り過ぎました。

今日は私の後ろから話し声が聞こえて振り返ると、
やはり昨日見かけた二人で、おばあちゃんは車いすにのせられていて、
その女の子が足取り軽やかに駅に向かっていました。

通り過ぎる時
少し洋服のにおいがきつかったので、
ちょっと普通と違うなと思いました。


もう会うことはないと思うのですが、
今日は昨日より二人の表情が
明るかったように見えたので
少しほっとしました。

11年くらい前にも私 通報したことがあります

以前、まだ1歳くらいの一ノ姫を育てていたときのことです。

夜 窓を開けて寝ていたら、
ぱしんっぱしんっという音が聞こえてきて
「なんどいえばわかるんだよっ!」という怒鳴り声が聞こえていました。


最初はテレビかな?とか思っていたのですが、
一日おきくらいに声がしていて、だんだん怖くなってきました。


主人に話して、一緒に声の出どころを探してみたら
近くの家のお風呂場らしきところから聞こえているようでした。

私たちのマンションからはその家の玄関とかは見えず、
お風呂場らしいところの窓しか見えないので、
そのおうちの苗字もわからず、
詳しい住所もわかりません。(住んでいたところがちょっと特殊な地形だったので)

どこにどうやって連絡をすれば良いのか、悩みました。

そのころはまだ虐待専用の電話とかも知らなくて、
電話をする場所がわからず、確か警察に電話したような気がします。

そのあとどうなったのかはわかりませんが、
怒鳴り声は聞こえなくなりました。

虐待の通報義務

子どもに対しての虐待通報はわかりやすい「189」ですが、
高齢者に対しての虐待の通報は、各市町村担当窓口や地域包括支援センターなどに連絡を
するようです。

通報して間違っていたらどうしようという気持ちは少なからずあるかと思いますが、
間違っていても私は良いと思うんです。

もしも本当だった場合、それで苦しい思いをしている人に誰かが気付けたなら。
看護者は虐待してしまうほど孤独で苦しい生活を送っているんですから。


私は『虐待』というと「子ども」しか頭にありませんでした。


高齢者の場合、今までは絶対に介護が必要な『要介護度』などがあると
大抵が施設に入ることができました。
(その介護施設内での職員からの虐待などはよくニュースになりますよね)

けれども今は 施設にれたくてもはいれない時代です。



この「ロストケア」でも、昔だったなら介護付き老人ホームなどに入れるレベルで、
介護の知識もない家族では 到底面倒など見切れない程度の介護者であっても入れない。

結果、家族が仕事も私生活も犠牲にしならなければいけなくなる。

私も実家でまだ独身の頃、認知症の祖母としばらくの間一緒に生活していたので
その大変さはほんの少しですがわかります。

認知症は急に悪くなるわけではないからこそ、
「ばあちゃん、最近ぼーっとしてること多いな~」
「前から怒りっぽいけど、最近本当に怒りっぽいな」
「また買い物行ってきたの?さっき買ってたじゃん」
「お金どこにしまったか忘れたの?ちょっとしっかりしてよぉ~」
などのちょっとしたイライラから始まって、

それが半年~1年毎日続き、一緒にいるこっちが嫌になっちゃうんです。

だんだんひどくなっているんですが、知識のない家族は
ただただイライラして、暴言はいちゃうんです。


もし今、子どもがいるこの状態で介護なんて
とてもではないですが私は無理です。


これから少子高齢社会が続いていく、
介護人材は確保できない。

だからこそ、
世界では認められつつある「尊厳死」「安楽死」について
日本ももっとちゃんと話し合っていくべきではないかと思います。



それではまた。ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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